2023年8月 緩和ケア室
がんを告知されたとき、家族にどう伝えるかは誰もが悩む問題です。特に親御さんが高齢の場合や、健康不安がある場合には、「ショックをうけるのではないか」「心配させたくない」という気持ちから、事実を伝えるべきか悩む方が多くいらっしゃいます。ここでは親御さんへの病気の伝え方について考えてみます。
親御さんと同居していて毎日顔を合わせる場合には、病気のことを隠しとおすことは難しいでしょう。治療中に生活面で協力してもらうためにも、早い段階で伝えること をお勧めします。
あえて伝えないということも一つの選択肢になるでしょう。しかし、伝えずにいた場合、親御さんが後で知ったときに「なぜ知らせてくれなかったのか」と悲しまれるかもしれません。
親御さんの中には事実を知らされたとき患者さん以上にショックを受けたり、「子どもの病気は親の責任」という考えから自分自身を責めてしまう方もいます。状況に合わせて工夫をしながら話してみることをお勧めします。
同居していて毎日顔を合わせる場合を除き、今後の治療方針がわかった時点が良いようです。手術が無事に終わったあとに知らせたという方もいらっしゃいます。
患者さんにとっては、家族であっても病気のことを話すのは負担が大きいことです。自分の体調だけでも精一杯なときに、親のケアをすることは気持ちをすり減らす思いかもしれません。つらいときには、緩和ケア室などでお話を伺うことができます。
緩和ケアはがんと診断されたときから必要に応じて行われます。治療中の不調や気分の落ち込みなどの問題が患者さんの日常生活を妨げることがあります。患者さんが生活の質を維持して、自分らしい生活送ることができるよう、さまざまな職種が協力してサポートしていきます。