2025年10月 緩和ケア室
「夜になると痛みが強くなって、眠れなくて…」「体を動かすと痛いから、トイレに行くのも大変」
痛みは身体だけでなく心にも大きな影響を与えます。がんの痛みには、腫瘍が神経や臓器を圧迫することで起こるもの、治療による副作用、さらには心理的な要因が関係することもあり、痛みの種類によって対処法も異なります。緩和ケアチームでは、痛みを「がまんするもの」ではなく「和らげるもの」として捉え、患者さんが自分らしい生活を取り戻すサポートを行っています。
痛みは外から見ただけではわかりにくいため、患者さんからの情報が重要になります。次の4つのポイントを押さえて伝えることが治療に役立ちます。
❶ どこが? | 「このあたり」と指差しで伝えてもかまいません |
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❷ いつ、どんなとき? | 「ずっと痛い」「動いたときに痛い」「食事すると痛くなる」など |
❸ どんなふうに? | 言葉でイメージを伝えましょう |
チクチク ピリピリ ビリビリ 電気が走るような 灼けるような 針で刺されるような ズーンと響く 締め付けられるような 重苦しいような シクシク しみるような ズキズキ キリキリ ヒリヒリ ジンジン きしむような | |
❹ どのくらい? | 痛みを数字にすると伝わりやすくなります |
痛みがない状態を「0」、想像できる最悪の痛みを「10」として、今の痛みの程度を伝えます。
痛みの程度に応じて、鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)や医療用麻薬(モルヒネなど)が使われます。副作用(便秘、眠気など)への対応も含めて、薬剤師や看護師が丁寧にサポートします。
医療用麻薬で麻薬中毒や依存症になりませんか?
医師の指示のもとで適切に使用すれば依存症状はほとんど生じません
医療用麻薬は最後の手段というイメージがあるのですが・・・
現在は病気のステージに関係なく、痛みをやわらげ、日常生活を向上させるために使われています
医療用麻薬を使うと寿命が縮んだりしませんか?
痛みの強さに応じた必要量を使用していれば寿命に影響しないことが明らかになっています
痛みを和らげるために、患者さんやご家族が工夫できることがあります。
痛みはがまんしなくていいのです。緩和ケアは患者さんが「自分らしく生きる」ことを支える医療です。痛みやつらさを感じたときは、遠慮せずに医師や看護師にご相談ください。
緩和ケアはがんと診断されたときから必要に応じて行われます。治療中の不調や気分の落ち込みなどの問題が患者さんの日常生活を妨げることがあります。患者さんが生活の質を維持して、自分らしい生活送ることができるよう、さまざまな職種が協力してサポートしていきます。