2024年11月 循環器内科
突然脈が速くなる、時々脈が乱れる、脈が飛ぶ(結滞)、脈が遅いなど
通常の心電図検査の他に、24時間心電図検査などを行いますが、不整脈が時々しか出ない場合は、不整脈が出た時に記録してもらう携帯心電計を用いて、不整脈の診断を行います。失神などの症状が、不整脈が原因ではないかと疑われる場合は、カテーテルを用いる電気生理学的検査を行って診断することもありますし、体に植込む小さな心電計(植込み型心電計)を用いて不整脈の診断をすることもあります。
不整脈には経過観察でよいものから、治療が必要なものまでいろいろとありますので、治療が必要な不整脈(たとえば上室性頻拍や心房細動、心房粗動、心室頻拍など)であれば、薬物治療や非薬物治療を行います。非薬物治療には、カテーテルを用いたアブレーション治療や、ペースメーカー治療、植込み型除細動器(ICD)などがあり、治療の対象となる不整脈に合わせて選択します。
近年は心房細動に対するカテーテルアブレーション治療が増えており、当院でも行っています。心房細動の治療部位を正確かつ早く把握するため、最新の3次元マッピングシステムを導入しています。治療には、従来の高周波カテーテルアブレーションシステムの他に、クライオアブレーションシステムを早くから導入し、多くの心房細動患者さんをより短時間で効果的に治療しております。
不整脈治療支援システム
心房細動アブレーションは、その原因となる部位(肺静脈)を焼灼して心房細動を治療する方法です。
従来の心房細動アブレーションには、加熱をして治療する高周波アブレーション・ホットバルーンアブレーション・レーザーバルーンアブレーションと、冷却をして治療するクライオバルーンアブレーションとがあります。
いずれの方法も熱を用いた治療であるため、心臓周囲の臓器(食道や横隔神経)に障害が及んでしまうことが少なからずあり、これが治療の限界ともなっておりました。
一方、パルスフィールドアブレーションは、カテーテル先端から短時間の周期で高電場(パルスフィールド)を発生させることにより、心筋細胞の細胞膜に小さな穴を生じさせ、細胞死を誘導する方法です。
この方法では、心筋細胞に特異的な電場を発生させることで、心筋細胞のみを治療することができることや、熱を発生させない治療法であることから、周囲の臓器に影響を与えることなく、心房細動を治療することが可能となりました。
従来のアブレーションと比較して、パルスフィールドアブレーションには合併症の低減と手技時間の短縮が期待されています。
文責 北海道医療センター 循環器内科医長 佐藤実
カテ室チームは、医師、看護師、臨床工学士、放射線技師で構成されており、日々カテーテル業務に関わっています。
術前には全職種のスタッフが集まり、各職種より意見を出し合い、一例ずつ打ち合わせを行っています。全スタッフが患者さんの情報を共有することにより、“安全かつ正確な検査・治療”が実現できると考えています。
心臓カテーテル室で安全かつ正確な治療を行い、より快適な環境で皆様に検査や治療を受けて頂けるように、これからも引き続き努力してまいります。
循環器内科 不整脈専門外来
各種不整脈の診断、治療適応の判断、薬物および非薬物治療の選択について、日本不整脈心電学会の不整脈専門医が対応いたします。