狭心症・心筋梗塞(急性、陳旧性)・虚血性心疾患、心不全、不整脈(房室ブロック、洞機能不全症候群、WPW症候群、QT延長症候群、期外収縮、上室頻拍、心室頻拍、心房細動・粗動、ブルガダ症候群等)、高血圧・低血圧症、難治性高血圧症、二次性高血圧症、心臓弁膜症(大動脈弁・僧帽弁・三尖弁膜症等)、心筋症(肥大型・拡張型心筋症、虚血性心筋症)、2次性心筋症(サルコイドーシス、アミロイドーシス、心筋炎、ファブリー病等)、先天性心疾患、閉塞性動脈硬化症、解離性大動脈瘤、胸・腹部大動脈瘤、深部静脈血栓症、肺高血圧症、肺動脈血栓塞栓症、睡眠時無呼吸症候群、失神など、あらゆる循環器疾患に対応可能です。
胸が苦しくなる、動くと息切れがする、夜間呼吸が苦しくなる、足がむくむ、歩くと足が張ってくる、めまいや気を失った(失神)ことがある、突然動悸がする、脈が突然速くなる、脈が遅くなったり・抜けたりする、検診で血圧が高い、心雑音がある、心電図に異常があるなどと言われた、コレステロールや中性脂肪、尿酸が高くご家族に心臓病の方がおられるなど循環器疾患が疑われる場合責任をもって対応します。
冠動脈とは心臓に血液を供給している重要な血管です。この血管に動脈硬化が進行して血管内腔が狭くなると狭心症、突然閉塞すると急性心筋梗塞を発症します。冠動脈疾患の診断には運動負荷心電図、放射性同位元素を用いる心筋シンチ、64列冠動脈CT、細長い管(カテーテル)を血管内に通して冠動脈に造影剤を注入する冠動脈造影などが行われます。治療としては薬物療法の他カテーテルによる治療(冠動脈インターベンション)の経験が豊富です。当科では狭心症に対するカテーテル治療が本当に必要か(心筋の血流不足があるか)否かを、負荷心筋シンチや冠動脈内に圧センサー付きのワイヤーを挿入して測定する冠血流予備比(FFR)などにより判断しています。急性心筋梗塞に対しては一刻でも早い対応が必要であり、24時間体制で緊急冠動脈造影・カテーテル治療を行っています。冠動脈カテーテル治療の際には血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)などの画像診断を併用し、薬剤溶出性ステント留置・薬剤溶出性バルーンによる治療、必要に応じてロータブレーター・ショックウェーブ(血管内石灰化破砕術:IVL)を行い、治療成績の向上・治療を受けられた方の予後改善を目指しています。
突然脈が速くなる、時々脈が乱れる、脈が飛ぶ(結滞)、脈が遅いなどの症状がある患者さんや、検診またはかかりつけ医に不整脈を指摘された患者さんの診断および治療を担当する外来です。他院からの、専門的かつ高度な不整脈治療を依頼された患者さんも担当します。
通常の心電図検査の他に、24時間心電図検査などを行いますが、不整脈が時々しか出ない場合は、不整脈が出た時に記録してもらう携帯心電計やさらには7日間ホルター心電図検査を用いて、不整脈の診断を行います。最近ではアップルウォッチなどのウェアラブル端末により記録した心電図を持参される方もおり、診断の参考にしています。失神などの症状が、不整脈が原因ではないかと疑われる場合は、カテーテルを用いる電気生理学的検査を行って診断することもありますし、体に植込む小さな心電計(植込み型心電計)を用いて不整脈の診断をすることもあります。
不整脈には経過観察でよいものから、治療が必要なものまでいろいろとありますので、治療が必要な不整脈(たとえば上室性頻拍や心房細動、心房粗動、心室頻拍など)であれば、薬物治療や非薬物治療を行います。非薬物治療には、カテーテルを用いたアブレーション治療や、ペースメーカー治療、植込み型除細動器(ICD)などがあり、治療の対象となる不整脈に合わせて選択します。
難治性の心筋症・2次性心筋疾患・心不全の治療についても多くの経験を有しています。重症心不全に対する心臓再同期療法(CRT)・両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)、心血管病の遺伝子診断、薬剤、特殊な診断や治療について専門医が対応いたします。また、心肺運動負荷試験などによる運動処方に基づき、運動療法、心臓リハビリテーションを行っています。
全身管理の一環として末梢動脈疾患の治療にも力を入れています。特に下肢閉塞性動脈疾患は重症化すると足の切断に至る場合もある深刻な病気です。原因は血管の動脈硬化です。足の血管が狭くなったり、閉塞したりすることで起こります。下肢閉塞性動脈疾患と診断された患者さんの約半数には、全身の動脈硬化を認め、狭心症・脳梗塞などが発見されることがあります。下肢閉塞性動脈疾患は、下肢の痛みや冷えといった症状が出ていても、年齢や疲れによるものと思い込み、治療が遅れがちです。早期発見と早期治療が非常に大切です。
主な症状:“下肢の冷えや痛み”、“間歇性跛行(歩行中などに足に疲れ、だるさ、痛み、こむら返りなどの症状が起こり、休むと改善する)”などがあります。また病気が進行すると、“足の傷が治りにくい、いつまでもじくじくしている”などが生じます。
治療方法:治療はまず患部を特定するところから始まります。下肢の血圧測定や血管エコー、CT、MRI による下肢動脈の画像診断が有用です。必要であればカテーテル検査を行います。内服治療やリハビリ治療も有効ですが、病気が進んでいる場合はカテーテル治療を行います。カテーテル治療では狭くなった血管をバルーン(風船)やステントと呼ばれる金属筒を使って血管内を直に広げます。下肢閉塞性動脈疾患症に対するカテーテル治療の割合は年々増えていますが、血管の状態によっては、心臓血管外科と連携してバイパス手術をお勧めすることがあります。
重症下肢虚血:糖尿病が長い患者さんや透析の患者さん、またご高齢の患者さんで、下肢の動脈硬化の進行から足の壊疽、つまり腐ってきてしまうような重篤な状況に陥ることがあります。当院では皮膚科・形成外科とも連携して、その様な患者さんへもしっかりと治療を行い、何とか下肢切断を回避できるように努めています。もし下肢の壊疽があっても、あきらめずご相談ください。
氏名・職名 | 認定資格 | 主な専門分野 |
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さとう みのる
佐藤 実 外来診療部長 地域医療連携室長 |
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循環器病学全般 不整脈・カテーテル・アブレーション |
ふじた まさあき
藤田 雅章 医長 |
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循環器病学全般 冠動脈インターベンション |
ほんま つねあき
本間 恒章 医師 |
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循環器病学全般 不整脈・カテーテル・アブレーション 冠動脈インターベンション 心不全診療 |
しもおか よしのり
下岡 良典 医師 |
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循環器病学全般 冠動脈インターベンション 末梢血管インターベンション |
おおつ けいすけ
大津 圭介 医師 |
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循環器病学全般 不整脈・カテーテル・アブレーション 冠動脈インターベンション |
かとう みずき
加藤 瑞季 医師 |
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循環器病学全般 |
たかはし まさゆき
髙橋 雅之 医師 |
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循環器病学全般 不整脈・カテーテル・アブレーション |
やまなし かつま
山梨 克真 医師 |
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循環器病学全般 心不全診療 |
なんぶ ひでお
南部 秀雄 医師 |
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循環器病学全般 冠動脈インターベンション 心不全診療 |
ほそぐち しょうへい
細口 翔平 医師 |
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循環器病学全般 |
負荷心電図、心臓核医学検査(シンチ)、64列冠動脈CT、冠動脈造影カテーテル治療、アブレーション治療、電気生理学的検査、ペースメーカー治療、植込み型除細動器(ICD、CRTD)
2023年度臨床研究業績一覧(症例報告・講演・学会発表)
北海道医療センターでは「救命救急センター」を中心に、3次をはじめとした救命・救急に備えています。コ・メディカル(看護師・薬剤師・検査技師・放射線技師)は当直体制で対応し、また専門各科もオンコール体制で緊急対応を可能にしています。
ご承知のように循環器救急疾患は、より早い、より適切な対応が求められます。循環器内科では、通常外来はもちろんのこと365日24時間体制を敷き、緊急を要する心臓・血管病に対応しています。また、札幌市ACSネットワークに参画し、休日・時間外も循環器専門医師が対応します。循環器救急の適応と思われる患者様がおられましたら、お気軽にご連絡ください。各医療機関には循環器ホットライン専用ダイヤルをご連絡させていただいております。