婦人科では2013年2月に「傷の小さな手術外来」を開設いたしました。
この外来はわれわれ婦人科で取り組んでいる腹腔鏡手術をより患者様にとってよいものとするため、ひとりひとりの患者様に最適な手術の方法を選択するサポートの目的に開設されたものです。
2008年の婦人科開設以来、腹腔鏡手術件数が増加し続け、現在は200件/年のペースとなっております。腹腔鏡手術は従来の開腹手術や膣式手術と異なり、臍を含む腹部の3-4か所に5mm-20mmの孔をあけ、腹腔鏡(カメラ)と鉗子(マジックハンドのような操作器具)を用いて行う手術で、子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症など婦人科の良性疾患の多くに腹腔鏡手術を用いております。
巨大な病変への対応や術中大量出血への迅速な対処に関して開腹手術に譲る点がありますが、それぞれの患者様への適応を慎重に検討することにより、女性の体に対して開腹手術よりも美容的であるのみならず、傷の痛みも少なく早期の社会復帰が可能となる利点の多い手術です。
婦人科では、これまでの数多くの腹腔鏡手術の経験を生かし、2011年4月より臍の他に下腹部1か所のみの傷(5mm)で腹腔鏡手術を行う「2孔式腹腔鏡手術」を導入しております。
これまでに約250件の2孔式腹腔鏡手術を行ってきましたが、手術時間や摘出物重量、出血量などの比較より従来の3-4孔式の腹腔鏡手術と同等の手術クオリティが保たれていることを検証し、日本産科婦人科内視鏡学会や日本内視鏡外科学会などの全国学会や国際学会で報告をしています。
また、2孔式腹腔鏡手術の下腹部の傷を3mmあるいは2mmに細径化した「2孔式細径化腹腔鏡手術」を約60件行った他、従来の腹腔鏡手術や2孔式腹腔鏡手術よりも臍の傷が小さくきれいな仕上がりとなる低侵襲な腹腔鏡手術に取り組んでおります。
婦人科手術のいろいろな方法や、ご自身の疾患に腹腔鏡手術の適応があるのかどうかについてのご相談、より低侵襲な腹腔鏡手術について詳しく知りたいとお考えの患者様は、「傷の小さな手術外来」を受診ください。