多発性硬化症は、免疫系の異常により中枢神経に繰り返し炎症が起きる神経免疫疾患の一つです。多くの患者さんは20〜40歳代に発症し、慢性の経過で中枢神経症状の増悪(再発)と改善を繰り返す特徴があります。多発性硬化症は欧米に多い疾患ですが、北海道十勝地方における最近の調査では人口10万人あたり18.6人の患者さんがいる事が明らかとなり、この数は15年前に行われた同調査と比べて2倍に増加しています。加えて、日本では北海道で有病率が高いことが知られています。多発性硬化症と診断されたら、再発予防薬は可能な限り早期に治療を開始することが大切ですが、これらの薬剤は投与経路(飲み薬,注射薬,点滴薬など)、それぞれ効果の強さと副作用が異なり、患者さん毎にどの薬剤を選択するか非常に慎重な判断が必要となります。また、治療中は効果と副作用の有無を経過観察するために定型的な検査が必要で、時に脳神経内科以外の診療科の受診が必要となります。多発性硬化症において再発予防薬をどう使っていくかは大変重要な課題で、動画で解説していますので、是非ご覧下さい。
国立病院機構 北海道医療センター
神経免疫疾患センター
当センターではそれぞれの疾患の診療に精通した神経内科専門医が中心となって診療に従事します。 加えて眼科、呼吸器外科、泌尿器科、精神科、リハビリテーション科など他の診療科の医師も加わり、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士、医療ソーシャルワーカー、 治験コーディネーターなど多くの職種が協力して患者様の療養をサポートいたします。