
診療科 脳神経内科
当科の対象疾患
脳神経内科では、脳、脊髄、末梢神経さらに筋肉に関わる疾患を扱います。非常に多岐にわたりますが、代表的な例は次のようなものです。
- 神経変性疾患
- パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病などの認知症
- 神経免疫疾患
- 多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症
- 末梢神経疾患
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群
- 機能性疾患
- てんかん、片頭痛
- 神経感染症
- 脳炎、髄膜炎
診療内容
Ⅰ.北海道難病医療拠点病院としての役割
脳神経内科には治療法が確立していない疾患が多くあります。当院は、北海道難病医療ネットワークの基幹病院としての役割を担っており、そのような疾患の患者様への情報提供、診療相談等積極的に関わってきました。これからも少しでも神経難病医療に貢献できるよう努力していきます。
Ⅱ.より専門性を追求した医療
脳神経内科疾患は多岐にわたりますが、当院で特に力を入れている疾患は、多発性硬化症・視神経脊髄炎、重症筋無力症を中心とした神経免疫疾患、パーキンソン病を中心とした変性疾患です。より専門性が必要とされる疾患ですが、それぞれの疾患のエキスパートによるきめ細やかな診療を心がけています。また、認知症疾患診断センターとしての役割も担っており、認知症ないし認知症が疑われる方に精度の高い診療を行っています。
Ⅲ.よりよい治療法を求めて
当院では、今後の医療環境の進歩を目指して、治験に積極的に参加しています。当科でもその方針に則り、これまで、多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症、パーキンソン病、片頭痛、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群、筋萎縮性側索硬化症、認知症等,多数の疾患の治験に関わってきました。現在でも複数の治験に参加しています。今後も、より良い治療を求めて、努力しています。当院のウェブサイトではどのような治験に参加しているのかご案内しておりますが、詳しくお知りになりたい場合にはお気軽にご相談ください。
Ⅳ.高度な検査機器を駆使した診断・フォローアップ
MRI・CT・SPECTなどの画像診断機器および、脳波、神経伝導検査、針筋電図などの電気生理学的検査など、充実した検査機器を用いることで、精度の高い診療を心がけています。
その他、以下のセカンドオピニオン外来も行っています。
※パーキンソン病セカンドオピニオン外来毎週火曜日の午前に菊地院長による「パーキンソン病セカンドオピニオン外来」を実施しています。
※多発性硬化症セカンドオピニオン外来
毎週水曜日の午後に新野/宮﨑医師による「多発性硬化症専門外来」(セカンドオピニオン外来)を実施しています。
【脊髄性筋萎縮症に対するスピンラザⓇ治療のお知らせ】
北海道医療センターでは、主に、成人のSMA患者さんに、スピンラザⓇの髄腔内投与を行っています。
脳神経内科医師と、麻酔科医師、整形外科医師、放射線技師、薬剤師、リハビリテーション部門、検査部門が一体となって、安全・確実にスピンラザの投与と効果判定を行います。
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スタッフ
氏名・職名 | 認定資格 | 主な専門分野 |
---|---|---|
みなみ なおや 南 尚哉内科系診療部長 難病診療センター長 |
日本神経学会専門医・指導医 日本内科学会認定内科医 |
重症筋無力症 神経変性疾患 |
にいの まさあき 新野 正明臨床研究部長 (神経免疫疾患センター長、認知症疾患診断センター長) |
日本神経学会専門医・指導医 日本内科学会総合内科専門医・認定内科医・指導医 日本頭痛学会専門医・指導医 日本認知症学会医専門医・指導医 |
多発性硬化症 視神経脊髄炎 認知症 |
あきもと さちこ 秋本 幸子医長 |
日本神経学会専門医・指導医 日本内科学会総合内科専門医・認定内科医 |
パーキンソン病等の 神経変性疾患 臨床神経学一般 |
みやざき ゆうせい 宮﨑 雄生医長 |
日本神経学会専門医・指導医 日本内科学会総合内科専門医・認定内科医・指導医 日本臨床免疫学会免疫療法認定医 |
多発性硬化症 視神経脊髄炎 |
あみの いたる 網野 格医師 |
日本内科学会認定内科医 | 臨床神経学一般 てんかん 重症筋無力症 |
ながぬま りょうじ 長沼 亮滋医師 |
日本神経学会専門医 日本内科学会認定内科医 |
神経内科一般 |
のむら たいち 野村 太一医師 |
氏名・職名 | 認定資格 | 主な専門分野 |
---|---|---|
きくち せいじ 菊地 誠志名誉院長/難病診療センター・チーフコーディネーター |
日本神経学会専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・指導医 日本認知症学会医専門医・指導医 |
パーキンソン病等の 神経変性疾患 免疫性神経疾患 |
検査・治療手技
MRI・CT・SPECTなどの画像診断機器および、脳波、神経伝導検査、針筋電図などの電気生理学的検査
主な治療実績(29年度)
入院(延べ) | 外来(延べ) | |||
---|---|---|---|---|
延総数 | 595名 | 9093名 | ||
重症筋無力症関連 | 25.50% | 152 | 20.40% | 1852 |
パーキンソン病関連 | 14.80% | 88 | 21.00% | 1913 |
多発性硬化症関連 | 8.70% | 52 | 9.10% | 823 |
運動ニューロン関連疾患 | 8.40% | 50 | 2.10% | 190 |
てんかん | 5.20% | 31 | 3.70% | 330 |
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 | 4.00% | 24 | 2.20% | 200 |
末梢神経疾患 | 3.20% | 19 | 4.30% | 388 |
筋疾患 | 2.50% | 15 | 1.70% | 157 |
認知症 | 0.80% | 5 | 7.00% | 638 |
スモン | 0.70% | 4 | 0.70% | 65 |
頭痛 | 0 | 5.70% | 517 | |
その他 | 26.10% | 155 | 22.10% | 2020 |
研究・業績
2020年度臨床研究業績一覧(著書・総説・原著・症例報告・講演・学会発表)
地域医療機関へのメッセージ
当科の前身は旧国立札幌南病院にあって、そこでは昭和54年に標榜科としての神経内科が、北海道で初めて開設されました。当時から神経難病のパイオニアとして診療に当たってきましたが、2010年に現在の地に移ってからは、慢性疾患だけでなく急性期の神経内科疾患にも幅広く対応しています。また、総合病院の神経内科ですので、他科とも連携して他疾患による神経内科的症状にも対応しています。さらに、神経疾患は治療が確立していない疾患も多いことから、少しでも早く薬が使えるよう、当科では積極的に治験に参加しています。詳細は“現在行っている治験”をご覧ください。今後も近隣の諸施設をはじめとした多くの医療機関のご協力を得ながら診療に励んでいく所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。神経内科疾患が疑われる場合などもお気軽にご相談ください。