「ドパの効果がすぐ切れる!」という題でお届けします。 前回の第2回では「ドパはPD治療薬のチャンピオン」というテーマでお話しましたが、そのドパの効き目が長持ちしない(ウェアリングオフ)ということが問題になってきます。
まず、「ドパの効果がすぐ切れる」のはなぜ?ということで、その原因を探ります。ドパミン神経細胞、特にその神経終末は、「ため池」にたとえられますが、より複雑な機能を有する「ダム」と云った方が適切です。ドパミン神経終末のダム機能がどのように変化していくのかについて、いくつかの仮説を紹介します。
いずれにしろ、残されたドパミン神経細胞は、積極的に代償メカニズムを働かせて頑張ります。そして、ドパミン放出の回転を上げる結果、オンとオフとのトレードオフをきたします。苦肉の策ではあるのですが、これがウェアリングオフになります。
さらには、セロトニン神経細胞がドパミンを生成し放出するようになります。しかし、この「助っ人」、やや暴走気味です。
ウェアリングオフ対策についても簡単にお話します(詳しくは後日)。
2021年5月28日
北海道医療センター
難病診療センター 菊地誠志