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【第6回】パーキンソン病は治らないんでしょ?

 サロン・ド・PD 第6回は、「パーキンソン病は治らないんでしょ?」という題でお届けします。患者さんに「さて、パーキンソン病の治療を開始します。お薬での治療が中心になります。」とお話し、続いて薬の説明を一通り終えます。「ではなにか質問は?」と云ったタイミングで、「パーキンソン病は治らないんでしょ?」という一言が、ため息とともに発せられます。「パーキンソン病は治らないんでしょ?」は、患者さんひとりひとりで意味が違います。今回のお話を聞いて、自分なりの答えを見つけていただければ幸いです。

 「パーキンソン病の治療は、大きく2つに分けて考えらえます。対症療法と疾患修飾療法です。対症療法には、説明は不要かと思います。症状を軽減あるいは消失させる治療法ということです。疾患修飾療法は聞きなれないかもしれません。病気の勢いを変えるという治療法です。発症前であれば発症予防、前駆期・早期・進行期であれば進行抑制あるいは修復ということになります。

 昨年、素晴らしい論文が発表されました(McFarthing K, et al., J Parkinson Dis 2020; 10: 757-774)。2020年1月1日時点で、どのような治験が進められているかの報告です。この報告で注目すべきは、著者のうち筆頭著者を含む3名がパーキンソン病の患者さんであるということです。調査の結果、145の研究が現在進行中であり、そのうち88が対象療法、57が疾患修飾療法でした。この論文を詳細にご紹介します。

 最後に、いくつか、疾患修飾療法をご紹介します。免疫療法とiPS細胞についてです。

 今回のお話では、対症療法、疾患修飾療法の開発状況についてお話しします。こんなにたくさんの治験が進行中であるということに驚かれると思います。いま使われている薬剤も、同じような過程を経てきたものです。わたしが医師となって40年。明らかに、そして、急速に治療手段は進歩しています。あっと驚くような治療法が、どこからか突然発表されるかもしれません。

 一方、パーキンソン病が、今現在は治らないとして、それでは、一生パーキンソン病に取りつかれて人生真っ暗なのか?

 新たな健康の定義(ヒューバー M.ら)があります。健康とは、「疾患によって様々な問題を抱えていても、それに対処し乗り越えて行く能力(立ち直り、復元力)・態度を保持していることだ。」となります。健康とは、単に「病気がないという状態」ではないということです。この定義によれば、パーキンソン病患者さんも健康であると言い切ることが可能です。

2021年8月24日
北海道医療センター
難病診療センター 菊地誠志

パーキンソン病セカンドオピニオン外来 毎週火曜日 午後9時~午後11時まで


担当医師は、パーキンソン病などの神経変性疾患および免疫性神経疾患を専門とする当院名誉院長の菊地医師が担当します。 菊地医師は、2002年、2011年、2018年の日本神経学会パーキンソン病治療ガイドライン作製委員会に委員として参加するなど、本邦におけるパーキンソン病診療に関する指導的立場にあります。また、政策医療ネットワーク/パーキンソン病の精神症状(認知症・うつ・幻覚)の実態調査とQOL向上への提言(独立行政法人国立病院機構)メンバー、パーキンソン病関連疾患であるジストニアの疫学・診断・治療法に関する総合的研究班(厚生労働省)研究協力者としても活躍しました。パーキンソン病および関連疾患の領域に精通しています。


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