サイトマップ | お問い合わせ | English

HOME > 一覧 > 医療コラム

【第9回】パーキンソン病と睡眠・ぐっすり眠りたい

 サロン・ド・PD 第9回は、「パーキンソン病と睡眠・ぐっすり眠りたい!」という題でお届けします。パーキンソン病患者さんのほとんどが、「すぐに目が覚める」「よく眠れない」「熟睡感がない」と不眠について訴えます。睡眠障害は、日中の動きや活動にも支障をきたします。「ぐっすり眠りたい!」は患者さんたちの切なる願いです。

 パーキンソン病患者さんの睡眠障害を調べるのに、パーキンソン病睡眠評価尺度-2(PDSS-2)があります。簡便かつ網羅的で、大変役に立つ調査票です。PDSS-2を使って、まずは、どのような症状が原因になっているかを同定します。パーキンソン病に由来する運動症状、非運動症状、自律性神経障害に問題があれば、それをひとつひとつ解決していくことになります。

 パーキンソン病患者さんの不眠には、高齢者の不眠との共通点があります。高齢者は若年者に比べて早寝早起きになる傾向があります。また、高齢者は深い眠りのノンレム睡眠の時間が減り、浅いレム睡眠の時間が増えます。睡眠中の途中覚醒も多くなり、全体的に浅い眠りとなります。

 パーキンソン病患者さんおよび高齢者の不眠に共通する対処法に睡眠衛生の回復があります。1日の流れの中で、リズムの回復を目指します。それでも問題解決に至らなければ薬物治療になります。

 睡眠覚醒のコントロールには3つのシステムが関与しています。そのうち、睡眠系を優位にして眠りを獲得するというのが、従来からの睡眠薬です。GABAA受容体作動薬などです。脳全体の機能を鎮静化させます。筋弛緩作用による転倒・骨折の増加、習慣性、長期連用による精神症状などの合併症、認知機能への影響から、このグループの薬剤は、短期集中的な使用はやむを得ないとしても、なるべく使用しないというのが原則です。使用する際は、短期間に留めます。

 体内時計系のシステムから、メラトニン受容体作動薬の効果についてお話します。覚醒系の維持に働くオレキシンとその受容体拮抗薬による不眠治療についても触れます。

2021年11月29日
北海道医療センター
難病診療センター 菊地誠志


〒063-0005
札幌市西区山の手5条7丁目1番1号

受付時間(月〜金曜日)
【午前】8:30~11:00【午後】1:00~ 3:00

※午後診療は再診予約のみとなります。

電話番号