多発性硬化症と新型コロナウイルスワクチン|神経免疫疾患センター

　日本でも新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されましたが、MS患者さんは安全に接種できるのか、MS治療薬とワクチンの併用は問題ないのかと疑問に感じていらっしゃる方が多いと思います。MS国際連合が発表している「新型コロナウイルス感染症に関するMS患者さんへの助言」の2021年3月5日改訂版では、新型コロナウイルスワクチンと多発性硬化症に関する情報が追加されていますので、要点を示します。詳細は原文/翻訳を是非ご覧になってください（文末にリンクを示してあります）。

全てのMSさんはCOVID-19ワクチンを接種することを推奨します。
MS患者さんが他よりCOVID-19ワクチンの副作用を生じやすいという証拠はありません。
COVID-19ワクチンはMS治療薬と安全に併用可能です。

上記は新型コロナウイルス（COVID-19）に対するmRNAワクチン、非増殖性ウイルスベクターワクチン、不活化ワクチン、蛋白ワクチンに関する内容です（ワクチンの種類に関しては原文/翻訳を参照ください）。これらワクチンの臨床試験に何人のMS患者さんが含まれていたか公表されていないため、MS患者さんへの有効性と安全性は現時点では明らかではありません。従って、この助言はこれらワクチンの臨床試験における全体的な情報と、MSにおけるワクチン全般に関するこれまでの知見に基づいています。

*本推奨は欧米における新型コロナウイルス感染症のリスクに基づいて作成されています。欧米における新型コロナウイルス感染症のリスクは本邦とは異なるようです。従いまして、本邦においてMS患者さんが新型コロナウイルスワクチンを接種すべきかどうかは個々の患者さんごとに慎重な判断が必要です。この点に関しては新たな情報が発表され次第ご紹介します。
英語原文：http://www.neuroimmunology.jp/jpn/news/Feb-2021-MSIF-Global-advice-on-COVID-19-for-people-with-MS-FINAL.pdf
日本語翻訳版：http://www.neuroimmunology.jp/jpn/news/日本語訳版MSIF_COVID19_ver6

2021年3月
北海道医療センター
神経免疫疾患センター
宮﨑雄生

多発性硬化症専門外来　毎週水曜日　午後1時～午後3時まで

当センターではそれぞれの疾患の診療に精通した神経内科専門医が中心となって診療に従事します。加えて眼科、呼吸器外科、泌尿器科、精神科、リハビリテーション科など他の診療科の医師も加わり、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士、医療ソーシャルワーカー、治験コーディネーターなど多くの職種が協力して患者様の療養をサポートいたします。