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臨床研究部

お知らせ

研究活動や論文について紹介

2024年7月19日
脳神経内科宮﨑雄生医師の「多発性硬化症歩行尺度–12の日本語版作成と検証」に関する研究論文がMultiple Sclerosis and Related Disorder誌に掲載されました。

Yusei Miyazaki, Masaaki Niino, Eri Takahashi, Chika Sato, Ryoji Naganuma, Itaru Amino, Sachiko Akimoto, Naoya Minami, Seiji Kikuchi

Japanese translation and validation of the 12-item Multiple Sclerosis Walking Scale version 2

https://doi.org/10.1016/j.msard.2024.105768

研究に関してのコメント
多発性硬化症患者さんは歩行の障害をお持ちの方が少なくありません。診察の際に歩く姿を拝見しますが、狭い診察室では患者さんの障害の全貌を把握することは不可能です。そこで、海外で用いられている歩行に関する質問票(Multiple Sclerosis Walking Scale-12、多発性硬化症歩行尺度–12)を日本語に翻訳して、当院に通院中の多発性硬化症患者さんに回答していただきました。その結果、作成された日本語版の多発性硬化症歩行尺度–12は英語の原版と同等の有用性があることが示されました。
執筆者より一言
アンケート調査というといい加減な印象を受けるかもしれません。しかし、多発性硬化症歩行尺度–12は患者さんの歩行に関する困難を拾い上げる目的で、科学的に正式な手続きを経て作成、翻訳されています。今回の研究では周囲から見て全く障害が見られない患者さんにおいても3分の1の方に何らかの歩行に関する問題があることがわかりました。今後も表面からは見えない患者さんの困難さに目を向けて診療、研究を行っていきます。
2024年4月23日
脳神経内科宮﨑雄生医師の「多発性硬化症の地域医療を支えるオンライン診療の有用性」に関する研究論文がClinical and Experimental Neuroimmunology誌に掲載されました。

Yusei Miyazaki, Shigehisa Ura, Kazuhiro Horiuchi, Takeshi Matsuoka, Hideki Houzen, Kazufumi Tsuzaka, Yuichi Makino, Manami Koshida, Genko Oyama, Chika Sato, Ryoji Naganuma, Itaru Amino, Sachiko Akimoto, Masaaki Niino, Naoya Minami, Eri Takahashi, Susumu Ota, Nobutaka Hattori, Ichiro Yabe, Seiji Kikuchi

Expert teleconsultation involving patients and their primary neurologists for the management of multiple sclerosis in regions without specialists

https://doi.org/10.1111/cen3.12787

研究に関してのコメント
多発性硬化症の治療は急激に進歩し、現在では8種類の治療薬が使用可能となりました。一方で、治療が複雑になったために治療法の選択が難しくなったことも事実です。本研究では当院と北海道内4病院を繋ぎ、これら病院に通院中の多発性硬化症患者さんと主治医の先生にオンラインで治療に関して助言を行いました。オンライン診療の後に患者さん、主治医の先生にアンケート調査を行った結果、遠方の当院までの通院負担の軽減、患者さんと主治医の信頼関係の向上が見られ、これらを介して独立した持続可能な地域医療の構築に貢献できることが示唆されました。
執筆者より一言
本研究で行ったオンライン診療は患者さんと専門家が直接オンライン診療を行ういわゆるD to P形式と異なり、 D to P with Dと呼ばれます。今後も地域在住の患者さんと主治医の先生にとってベストなオンライン診療の形態を模索していきたいと思います。
2023年6月21日
外科三野 和宏 医師の「手術難易度から見た経皮経肝胆嚢ドレナージ後の至適な手術待機期間の検討」が日本消化器外科学会雑誌に掲載されました。

三野 和宏、植村 一仁、深澤 拓夢、鈴木 琢士、齋藤 智哉、白川 智沙斗、吉田 拓人、大畑 多嘉宣、小丹枝 裕二、川村 秀樹
日本消化器外科学会雑誌(0386-9768)55巻9号 Page537-548(2022.09)
2023011167, DOI:10.5833/jjgs.2020.0186

研究に関してのコメント
急性胆嚢炎に対する経皮経肝的胆嚢ドレナージ(以下、PTGBD)は、腫大した胆嚢に対し体表から肝臓を経由して胆嚢内にチューブを挿入し、胆汁をドレナージ・減圧することで非手術的に炎症を消退させる手技であり、手術リスクの高い急性胆嚢炎の患者さんに対して推奨されている手技です。一方、PTGBDは対症的な手技であるため、最終的には胆嚢摘出術(以下、胆摘)が必要となります。PTGBDから胆摘までの至適な待機期間に関しては一定の見解が得られておらず、当院においても、諸家の報告をもとに手術当時最良と考えられる待機期間で胆摘を行ってきました。今回、これらの貴重なデータを使わせていただき、PTGBDから胆摘までの至適な待機期間に関して検討致しました。
執筆者より一言
長い待機期間を推奨する報告もありますが、今回、特に重症の胆嚢炎では待機期間を長くおいても手術難易度が低くならないことがわかりました。したがって、手術可能な全身状態となり次第、手術を行うことが好ましいと考えられますが、諸々の事情で待機期間が長くなる場合は慎重な手術操作や術後管理が要求されることがわかりました。
2023年5月16日
脳神経内科宮﨑 雄生 医師の「喫煙と重症筋無力症の発症年齢に関する研究」がImmunological Medicine誌に掲載されました。

Miyazaki Y , Sakushima K, Niino M, Takahashi E, Oiwa K, Naganuma R, Amino I, Akimoto S, Minami N, Yabe I, Kikuchi S.

Smoking and younger age at onset in anti-acetylcholine receptor antibody-positive myasthenia gravis https://www.tandfonline.com/doi/abs/
10.1080/25785826.2022.2143077

研究に関してのコメント
喫煙は免疫に関わる様々な病気に悪影響を及ぼすことが知られています。本研究では当院に通院している抗アセチルコリン受容体抗体陽性の重症筋無力症患者さん139人にご協力いただいて、喫煙と重症筋無力症の発症年齢の関係を検討しました。その結果、重症筋無力症発症時または発症前10年以内に喫煙していた方は、そうではない方と比べて発症年齢が若いことが判明しました。この影響は男性よりも女性で顕著でした。この結果から、喫煙は重症筋無力症の発症を早める可能性が考えられます。
執筆者より一言
本研究結果からは、喫煙が重症筋無力症を悪化させると結論づけることはできませんが、喫煙は様々な健康問題と関連することが明らかですので、喫煙されている重症筋無力症患者さんには禁煙を強く勧めます。禁煙外来を利用することも手ですが、ニコチンパッチやニコチンガムの使用に関しては、重症筋無力症患者さんの場合は多少の注意が必要ですので、詳しくは主治医までお問い合わせください。
2023年4月13日
消化器内科中積 宏之 医師の『抗EGFR抗体治療抵抗性の転移性大腸がん患者を対象としたFOLFIRI+アフリベルセプトの多施設共同前向き第Ⅱ相臨床試験についての論文』がFrontiers in Oncology誌に掲載されました。

Nakatsumi H, Komatsu Y, Muranaka T, Yuki S, Kawamoto Y, Harada K, Dazai M, Tateyama M, Sasaki Y, Miyagishima T, Tsuji Y, Katagiri M, Nakamura M, Sogabe S, Hatanaka K, Meguro T, Kobayashi T, Ishiguro A, Muto O, Shindo Y, Kotaka M, Ando T, Takagi R, Sakamoto N, Sakata Y

Study protocol for HGCSG1801: A multicenter, prospective, phase Ⅱ trial of second-line FOLFIRI plus aflibercept in patients with metastatic colorectal cancer refractory to anti-EGFR antibodies
Front Oncol. 2022 NOV 9;1
PMID: 36439491 DOI: 10.3389/fonc.2022.939425 WoS: WOS:000890284200001
https://www.frontiersin.org/articles/
10.3389/fonc.2022.939425/full

研究に関してのコメント
抗EGFR抗体薬不応の結腸・直腸癌に対する2次治療としてのFOLFIRI+アフリベルセプト療法の有効性と安全性を検討する単群多施設共同前向き第Ⅱ相臨床試験(HGCSG1801)のプロトコール(研究実施計画)論文です。FOLFIRI+アフリベルセプト療法は大腸癌治療ガイドラインにおいて二次治療で推奨されている化学療法レジメンの一つですが、抗EGFR抗体薬を含む一次治療を受けた患者さんにおける有効性・安全性のデータについて前向き試験での報告がないため、本試験が計画されました。北海道消化器癌化学療法研究会(HGCSG)に所属・協力している道内外の14施設(当院含む)が本試験に参加されています。
執筆者より一言
本試験は2022年10月末で無事予定登録症例を満了することができました。御参加いただいた患者様と御家族の方々、試験を遂行していただいた施設のみなさまの御協力に感謝申し上げます。本試験の結果が出ましたら国内外の学会や論文で発表する予定です。本試験を通じて大腸癌診療が発展する一助となるように引き続き精進いたします。
2023年4月5日
脳神経内科新野 正明 医師の『日本人多発性硬化症患者の健康関連QOLに関する研究』がJournal of Neurology誌に掲載されました。

Niino M, Fukumoto S, Okuno T, Sanjo N, Fukaura H, Mori M, Ohashi T, Takeuchi H, Shimizu Y, Fujimori J, Kawachi I, Kira JI, Takahashi E, Miyazaki Y, Mifune N.
Health-related quality of life in Japanese patients with multiple sclerosis.
J Neurol, 2023;270:1011-1018.
https://link.springer.com/article/
10.1007/s00415-022-11453-9

研究に関してのコメント
全国の施設との共同研究で、多発性硬化症における生活の質(quality of life:QOL)に関する論文をまとめました。多発性硬化症は欧米では患者数も多く一般に周知されていますが、日本では2万人弱の患者数ということで、それほど知られてはいないと思います。QOLは、必ずしも疾患や障害によってのみ影響されるものではないことから、本研究では、日本人多発性硬化症患者における健康関連QOL(HRQOL)に影響を与える因子について検討しました。結果、障害や疲労が強くなると、広くHRQOLは低下する傾向があり、さらに、抑うつはHRQOLに大きく影響することがわかりました。このことから、多発性硬化症においては身体障害だけでなく、疲労や精神状態にも注意を払う必要が考えられます。
執筆者より一言
多発性硬化症や視神経脊髄炎スペクトラム障害は患者数が多い疾患ではありません。当院では神経免疫疾患センターを中心に、深く診療や研究を行っています。患者さん・家族向けの講演会も行っていますので、是非、ご参加ください。

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