北海道難病診療連携拠点病院
わが国の難病対策事業は世界に先駆けて発足し、研究と患者救済に大きな役割を果たしてきました。なかでも、北海道における難病医療は、患者会および医療従事者の活動を、北海道(庁)が後押しする形で発展してきました。
わが国の難病対策は、キノホルムによる薬害であるスモン対策から始まり、1972年、「難病対策要綱」に結実しました。要綱では、「調査研究促進」「医療施設の整備」「医療費の自己負担の解消」が3つの柱とされました。2009年時点で、難治性疾患克服研究事業の対象は130疾患、そのうち56疾患が医療費公費負担の対象でした。2013年、厚生労働省難病対策委員会において難病対策事業の見直しが検討され、「難病対策の改革について(提言)」がまとめられました。これを受けて法制化の準備が開始されました。その目的は、「社会における難病への理解と啓発」、「すべての難病患者の救済」、「難病研究推進による病態解明と治療法の開発」、「持続可能な社会保障制度の確立による医療費の確保」でした。「難病の患者に対する医療等に関する法律(以下、難病法)」は、2014年5月23日に国会で可決成立しました。難病患者に対する医療連携の強化、難病患者の小児から大人への移行期医療の充実にも取り組むこととされました。本法は、2015年1月1日に施行され、次いで、5月には筋ジストロフィーなど196疾患が指定難病に加わり総計306疾患となりました(現在333疾患)。医療費助成の財源が、不安定な事業から安定的な社会保障費として法制化された意義はきわめて大きなことです。実に「難病対策要綱」発表から43年が経っていました。難病法が施行される前の北海道における難病の医療提供体制は、重症難病患者入院施設確保等事業のもと、北海道医療センターの前身である札幌南病院が拠点病院として活動し、北海道医療センターがそれを引き継いでまいりました。