重症筋無力症は眼瞼下垂(まぶたが下がる)、複視(物がダブって見える)といった眼の症状や、首や四肢の脱力や疲れやすさ、ろれつが回らない、飲み込みづらいなどの口やのどの症状が見られます。重症化すると呼吸困難を来たします。また、夕方や、疲れてくると症状が悪化し、休息をとると回復する等、症状の変動が見られるのが特徴的です。
病因は抗アセチルコリンレセプター抗体をはじめとする自己抗体が血液から検出されることが多く、自己免疫の異常と考えられています。
20世紀前半までは治療法がなく、死亡率の高い疾患のため、病名に「重症」が冠せられるほど恐れられていました。20世紀後半より様々な治療が行われ、死亡率は急減し、必ずしも「重症」とは言えなくなりました。
当院では他の診療科と連携をとりながら、免疫療法(ステロイド剤、免疫抑制剤、免疫グロブリン療法、血漿交換)を主体とした内科的治療と、外科治療(胸腺摘出術)を組み合わせて治療を行っています。
現在、札幌市内市街を問わず300人以上の重症筋無力症の患者さんが当院に通院されており、全国的に見ても有数の診療実績を誇っております。今後とも他の診療部門とさらに連携を深め、より良い診療を目指していきたいと思っております。