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独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター
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神経免疫疾患センターのご紹介

多発性硬化症とは

【多発性硬化症(MS)と新型コロナウイルス感染症】
MS国際連合が発表している「新型コロナウイルス感染症に関するMS患者さんへの助言」の要旨を紹介

多発性硬化症は、免疫系の異常により中枢神経に繰り返し炎症が起きる神経免疫疾患の一つです。多くの患者さんは20〜40歳代に発症し、慢性の経過で中枢神経症状の増悪と改善を繰り返す特徴があります。多発性硬化症で見られる症状は物が見えづらい、二重に見える、ふらつく、手足に力が入らない、体の一部がしびれる、感覚が鈍いなど多彩です。多くの患者さんはこれらの症状が数日から数週間かけて増悪し、その後軽減するという経過を繰り返し経験します(再発寛解型)。また一部の患者さんではこのような急激な症状の増悪が目立たず、症状がゆっくりと増悪することがあります(一次性進行型、二次性進行型)。

多発性硬化症の症状の増悪と時間
従来多発性硬化症は欧米に多い疾患と考えられており、その診療や研究は欧米を中心に進歩してきました。現在でも本疾患に対する最新の知識を得るためには常に欧米の学会や論文に目を向ける必要があります。しかし、本邦においても多発性硬化症の患者数は増加傾向にあります。北海道十勝地方における最近の調査では人口10万人あたり18.6人の患者さんがいらっしゃる事が明らかとなり、この数は15年前に行われた同調査と比べて2倍に増加しています。加えて、多発性硬化症は我が国では北海道で患者数が多いことが知られています。
十勝地区多発性硬化症疫学調査 患者数グラフ

 多発性硬化症の診断は発症からの経過、神経診察、MRI検査、血液検査、髄液検査などの結果に基づき総合的に行います。また、一部の患者さんでは病初期には確定診断が難しく、慎重な経過観察の後に診断に至ることもあります。多発性硬化症の治療は再発時の治療、再発・症状の進行を予防する治療、残存した症状に対する対症療法・リハビリテーションに分かれます。再発時にはステロイド剤の点滴(ステロイドパルス治療)を行うのが一般的です。再発・症状の進行を予防する治療としては現在本邦では以下の7種類の薬剤が使用可能です。

再発を予防する薬剤のイメージ

イラスト:えみすけ

  • ベタフェロン(R)(自己注射)
  • アボネックス(R)(自己注射)
  • コパキソン(R)(自己注射)
  • テクフィデラ(R)(内服薬)
  • ジレニア(R)/イムセラ(R)(内服薬)
  • タイサブリ(R)(点滴)
  • メーゼント(R)(内服薬)

多発性硬化症と診断されたら、可能な限り早期に治療を開始することが大切ですが、これらの薬剤は投与経路(飲み薬,注射薬,点滴薬など)、それぞれ効果の強さと副作用が異なり、患者さん毎にどの薬剤を選択するか非常に慎重な判断が必要となります。また、治療中は効果と副作用の有無を経過観察するために定型的な検査が必要で、時に神経内科以外の診療科の受診が必要となります。このように、多発性硬化症の診断、治療には本疾患に対する豊富な知識と診療経験をもつ医療スタッフが協力しつつ行っていくことが理想的です。
多発性硬化症・視神経脊髄炎センターのご紹介へ

十勝地区多発性硬化症疫学調査 患者数グラフ

イラスト:えみすけ