低侵襲手術センター
胆のう結石症、鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、胃がん、大腸がん、急性虫垂炎、十二指腸潰瘍穿孔、腸閉塞症、婦人科や消化器内科との合同手術など
外科の腹腔鏡手術は上記のとおり多くの手術に取り入れられています。2023年の主な術式の腹腔鏡下手術の割合をグラフで示します。当科ではほとんどの手術が腹腔鏡下に行われており、むしろ開腹手術はあまり行われなくなってきました。
当科には腹腔鏡手術の指導者資格である日本内視鏡外科学会技術認定医が3人在籍しており、腹腔鏡下手術には必ず関与するようにしております。2023年における胃がん、大腸がん手術後に再手術などを要した合併症はそれぞれ3%、0%と非常に低くなっております。
腹腔鏡手術の技術向上によりほぼ全ての大腸癌(結腸癌、直腸癌)に対して腹腔鏡手術を導入しております。腹腔鏡手術では、その拡大視効果により、開腹手術よりも繊細かつ出血が少なく、低侵襲で安全な手術を患者様に提供しております。
胃がんにおいて推奨できる腹腔鏡手術は、胃がん治療ガイドラインおよび内視鏡外科診療ガイドラインではステージⅠ(早期がん)症例に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術のみとなっています。進行胃がんや胃全摘術に対する腹腔鏡手術は比較的高度の技術を要すること、周術期における安全性と長期予後に関してまだ不明であることからガイドラインでは今のところ推奨されていません。これらの症例に対する手術の適応は各施設の習熟度に応じて設けているのが現状です。当科では進行胃がんに対する腹腔鏡下手術や腹腔鏡下胃全摘術は安全性と根治性を十分に検討し、院内の倫理委員会の承認を得て実施しています。
手術の既往や癒着、全身麻酔困難など腹腔鏡手術が不適切な場合を除いて、当科では、おなかのヘルニアに対しても体に優しい腹腔鏡手術を第一選択としています。鼠径ヘルニアに対しては腹壁内で手術を完結する内視鏡下のTEP法を行います。また腹壁瘢痕ヘルニアに対してもTEPを応用した内視鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術(eTEP Rives-Stoppa法/eTEP TAR: Transversus abdominis muscle release)を行なっています。腹腔内に入ることなく腹壁内にメッシュを留置するため、術後の腹腔内合併症の低減が期待できる理想の手術と考えております。興味のある方はおなかのヘルニア専門外来で一度ご相談下さい。
腹腔鏡下手術の進化形として単孔式手術が全国の施設で徐々に行われるようになってきています。単孔式手術とは一般的には胆嚢摘出や虫垂切除などの小手術で行われ、臍の1か所のキズからすべての手術を行う方法です。当科では単孔式手術を応用し、従来の腹腔鏡下手術よりもさらにキズの数を少なく行う減孔式手術を早期の胃がんに行っています。
外科・消化器外科では令和6年10月より胃、直腸領域のダビンチ手術を導入します。