モバイルCTナビゲーション機器(ストライカー社製、AiroモバイルCTナビゲーション装置)
令和4年秋に日本初のモバイルCTナビゲーション機器を導入し、より安全性の高い高度先進脊椎手術を実践しています。
当院は、腰椎椎間板ヘルニアに対する新しい治療法として注目されている薬剤「ヘル二コア」の注射が受けられる医療機関です。 切らずに椎間板内に酵素を含んだ薬剤を直接注入して、ヘルニアの症状をやわらげる新しい治療法です。
・脊椎脊髄外科手術(2023年 122例):
脊椎脊髄外科手術:脊椎ナビゲーションを用いた脊柱変形再建術(特発性側弯症矯正手術、先天性側弯症矯正手術、早期発症側弯症手術など)、骨粗鬆症椎体骨折に対する外科手術、成人脊柱変形に対する矯正再建術、頚椎・腰椎椎間板ヘルニア摘出術、椎間板酵素注入療法、頚椎椎弓形成術、腰椎椎弓形成術、内視鏡下脊椎感染症最少侵襲手術、各種脊椎感染症に対する脊椎手術、脊椎低侵襲前方再建術、顕微鏡下脊髄腫瘍摘出術、原発性・転移性脊椎腫瘍再建術、血液透析患者の各種脊椎手術術、合併症のあるハイリスク症例の脊椎脊髄手術 など
・四肢の変性疾患に対する手術(2023年 118例):
腱鞘切開術、手根管開放術、神経剥離・神経移行術、神経腫切除術、腱縫合術、腱移行術、デュプイトレン拘縮手術、関節滑膜切除術、肩腱板断裂手術、人工膝関節置換術、人工股関節置換術、寛骨臼骨切り術、膝半月板切除術、足部関節固定術 など
・四肢の外傷に対する手術(2023年 253例):
観血的骨接合術(鎖骨・肩甲骨・上腕骨・前腕骨・手部・骨盤骨・大腿骨・膝蓋骨・下腿骨・足部)、大腿骨近位部骨折に対する骨接合術や人工骨頭置換術、人工関節周囲骨折に対する骨接合術、創外固定術、手足の腱縫合術、関節の靭帯縫合術・再建術、膝半月板縫合術 など
専門外来のご案内
あらゆる年齢層の背骨や脊髄に関する専門的診断と治療を行います。頚椎、胸椎、腰椎のさまざまな疾患の診断と治療を行います。頚椎の病気では、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症や脊髄症、後縦靱帯骨化症による脊髄症、腰椎では腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離すべり症や変性すべり症などが一般的な疾患ですが、中高齢者の骨粗鬆症に伴う脊椎骨折、成人の脊柱変形の診断と治療も行っています。結核性脊椎炎や化膿性脊椎炎などの、脊椎の感染症に対する最少侵襲治療も行っております。脊髄や脊髄の腫瘍、スポーツなどによる背骨の外傷ならびに脊髄損傷に対する診断と治療も行っています。
小児から成人までの脊柱変形の専門的診断と治療を行います。先天性脊柱側弯症をはじめとする早期発症側弯症、学童期に多い特発性側弯症の診断と専門的治療はもちろん、さまざまな基礎疾患に伴う背骨の変形の診断と治療を行っています。治療では、装具治療や脊柱変形矯正手術を行っています。学校検診で脊柱変形の疑いがあるといわれた子供さんや、姿勢異常を医療機関で指摘された子供さんの相談にのっております。学校通学のことを考え、午後診療にしております。成人ならびに高齢者の脊柱変形の診療も実施しています。
上肢には手指、手・肘・肩関節などヒトとして生活するために大切な意味を持つ部位が多く存在します。そこには複雑な動きを可能とする、骨・靭帯・腱・神経・血管などの組織が細かな構造で存在しています。このような上肢の機能に障害が起こった場合には、適切な診断と治療を行うために専門的な診療が必要です。
当科では日本手外科学会専門医が神経・血管や腱の顕微鏡を用いたマイクロサージャリー(微小外科手術)を始め、手・肘・肩の専門的診断と治療を行います。指先から肩までの痛みやしびれ、動かしにくさ、変形など、また関節リウマチ、小児の外傷やスポーツ障害、野球などのスポーツにおける肘や肩の障害に関しても、上肢疾患の専門医が診断および外来での保存的治療、手術的治療ならびにリハビリテーション治療などを行います。
先天性内反足や発育性股関節脱臼をはじめとする乳児期の疾患、スポーツ活動に伴う股関節,膝関節や足の障害、壮年期の臼蓋形成不全、外反母趾、および股関節や膝関節の老化による変形性関節症などあらゆる年代の下肢の疾患を診療します。また関節リウマチに伴う股関節、膝関節の関節症,足部変形に対する診療も行います。治療はまずは薬物や装具などの保存的治療を行いますが、重症度により必要に応じて手術的治療も行います。当科の特色として、手術では股関節の骨切り術や、股関節や膝関節の侵襲の少ない人工関節を正確で安全に行うことをこころがけています。また北海道大学病院と連携することにより、足部疾患に対しても専門的な診断と治療が可能です。当外来ではまずは病状と治療法につき下肢疾患の専門医が丁寧に説明いたします。
氏名・職名 | 認定資格 | 主な専門分野 |
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いとう まなぶ
伊東 学 院長 (脊椎脊髄病センター長) |
日本整形外科学会整形外科専門医 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科専門医 日本脊椎外科学会脊椎脊髄外科専門医 日本整形外科学会脊椎脊髄病医 日本整形外科学会運動器リハビリテーション医 日本医師会認定産業医 |
脊椎脊髄外科 脊柱側弯症 脊柱変形 脊椎低侵襲手術 脊椎・脊髄外傷 |
ながの ゆうすけ
永野 裕介 医長 |
日本整形外科学会整形外科専門医 日本手外科学会専門医 日本体育協会公認スポーツドクター |
手外科 マイクロサージャリー 肘・肩の外科 |
こんの たくや
紺野 拓也 医師 |
日本整形外科学会整形外科専門医 日本人工関節学会認定医 |
股関節外科 下肢の外科 |
たち ひろゆき
舘 弘之 医師 |
脊椎脊髄疾患 | |
いしだ けんた
石田 健太 医師 |
日本整形外科学会会員 | 整形外科一般 |
にしもと としゆき
西本 紀之 医師 |
日本整形外科学会会員 | 整形外科一般 |
よしざき ひでかず
吉崎 秀和 |
Japanese Nurse Practitioner JNP:診療看護師 |
全身状態の診療 |
3テスラの高磁場MRI装置、3次元CT画像を用いた最新画像診断、脊椎腫瘍などに対する組織診断、脳神経内科と連携した神経生理検査、肩・肘・手・膝・足関節の関節鏡、超音波診断など駆使した総合診断をおこなっています。
最新設備を備えた手術室で一般的な脊椎脊髄手術はもちろんのこと、難易度の高い脊柱側弯症の矯正手術、脊椎内視鏡などを用いた最少侵襲脊椎手術を安全に行っています。総合病院である利点を生かし、麻酔科、集中治療室をはじめ各診療科との連携による合併症を有する症例への手術治療も積極的におこなっています。血液透析に対する医療設備も充実しており、長期維持透析患者の透析脊椎症などの周術期管理の難しい疾患の手術も数多くおこなっています。北海道内で発生する結核性脊椎炎や治療に難渋する脊椎感染症の症例が当科に多く紹介されています。令和5年3月からモバイルCT脊椎ナビゲーションによる精度の高い脊椎再建手術を実施しています。
四肢の変性疾患についても腕や手の関節・腱・神経などに対する治療、膝や股関節の末期変形性関節症に対する人工関節置換術をはじめ、高齢者や内科的合併症のため一般の病院では治療不可能な難易度の高い症例に対する治療も積極的に行っています。
外傷治療に関しても、前述の総合病院の特色を生かして、人工透析中や心疾患などの内科的合併症、精神疾患を有する患者様の手術も、数多く施行しております。
手術後急性期を経て状態が安定した後は、早期の自宅への退院支援や回復期リハビリ施設への転院を地域の医療機関との連携を密にして行い、患者様の早期社会復帰の実現に努力しております。
77歳、女性。骨粗鬆症性椎体骨折後に骨癒合が得られず歩行障害が出現しました。椎体形成術とCBTという新しい固定技術により低侵襲手術で手術後早期から歩行が可能となりました。
71歳、男性。第2/3腰椎化膿性椎体椎間板炎で高熱と高度の腰痛がありました。経皮的脊椎内視鏡を用いた低侵襲の手術により、手術後に痛みは軽減し感染は治癒しました。
64歳女性: 成人側弯症のため高度な脊柱変形と神経障害がありました。前・後方合併再建術により、神経障害は改善し良い姿勢が獲得されました。長時間の歩行も楽にできるようになりました。
13歳女性:特発性側弯症で高度な脊柱変形がありました。後方脊柱変形矯正手術により、正常な脊柱形態が獲得されました。術後2週で退院できました。
74才女性:凹脚になり膝の関節軟骨がすり減って無くなってしまった末期の変形性膝関節症のためあまり歩けなくなりました。人工膝関節置換術を行い、痛くないまっすぐな膝でパークゴルフを楽しんでいます。
2023年度臨床研究業績一覧(総説・原著・講演・学会発表)
札幌市西区・手稲区はもとより、市内全域をはじめ道内の多くの医療機関より、たくさんの患者様のご紹介をいただき誠にありがとうございます。当院の整形外科は、国立病院機構南札幌病院と西札幌病院の整形外科が2010年に統合されてできました。2014年からは現院長の伊東 学 医師が脊椎脊髄病センター長として、困難な脊椎脊髄疾患に対する先進の医療を提供して参りました。現在は、上肢疾患専門医が手・肘・肩専門診療を、下肢疾患専門医が股・膝関節、足部診療を担当しています。
脊椎・上肢・下肢それぞれに対する専門的な診断と治療を行い、若い専攻医の力も加えて、いつでも運動器疾患全般に対する高度な医療を提供できる診療科として、道民の皆様にお役にたてるように努力してまいります。