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「多発性嚢胞腎」と「多発腎嚢胞」

健診や人間ドックなどで、

「腎臓に嚢胞を認めますので、内科や泌尿器科を受診してください。」

というコメントが記入されることがあります。

腎臓に液体が入った嚢胞ができることがありますが、両方の腎臓に複数嚢胞がある場合は、遺伝病である「多発性嚢胞腎」を疑うことになります。

「多発性嚢胞腎(PKD)」は2種類の病気があり、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)と常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)という病気です。ARPKDは小児で見つかることが有り、ADPKDは成人で見つかることがある病気です。

ADPKDはエコー、CT、MRIなどの画像検査および家族歴で診断されます。
ADPKDは成人の3000人から7000人に1人認められる病気で、徐々に腎機能が悪化し、半数の方に透析が必要となります。

両方の腎臓に複数の嚢胞を認められ、腎臓内科に紹介となる場合がありますが、「ADPKD」と診断される場合と「多発腎嚢胞」と診断される場合があります。多発腎嚢胞も腎臓に複数の嚢胞を認めますが、腎臓自体が大きくなることはなく、腎機能はあまり悪化しません。定期的な通院も必要ありません。

カリウムコントロールのすすめ

ADPKDの場合は、嚢胞が徐々に増えて、腎臓も徐々に大きくなり、腎機能も悪化していきます。腎臓が大きくなると他の臓器を圧迫することもあり、食欲不振や栄養障害となるばあいもあります。定期的に通院し、しっかり血圧コントロールを行い、できるだけ腎機能保持を目指します。最近はADPKDに対する治療薬(サムスカ)も投与可能となっており、外来に月1回通院しながらサムスカを服用している患者さんもいます。サムスカの適応は両方の腎臓の容積が750cc以上で、腎容積が1年に5%以上大きくなる方です。サムスカを処方すると医療費が高額となることから、特定疾患を申請して、所得に応じて一定額以上の医療費免除制度を用います。

ADPKDは腎臓だけではなく肝臓にも多数の嚢胞が発生し、肝臓がかなり大きくなる方もいます。脳動脈瘤が発生しやすく、くも膜下出血が起こることもあります。くも膜下出血で脳外科を受診した際にADPKDを初めて指摘される方もいます。

健診や人間ドックなどで、「腎臓に嚢胞を認めますので、内科や泌尿器科を受診してください。」というコメントがあったら、放置しないで、内科や泌尿器科を受診することをオススメします!

多発性嚢胞腎に関しては、youtube動画で解説していますので、下記の動画も御覧ください。

2021年7月13日
北海道医療センター
腎臓内科 医長 柴崎 跡也


慢性腎臓病の悪化による透析導入患者数はいまだに減少していず、厚労省は年間の新規透析導入患者数を35,000人以下にするという数値目標を設定し、全国の医療機関で慢性腎臓病の重症化予防に取り組んでいます。当院は西区の腎臓内科施設として、慢性腎臓病の重症化予防に力を入れ、病診連携を行っております。


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