わが国で2017年に膀胱癌と診断された人は、男性が約17,300人、女性が約5,700人で、男女比3:1と男性に比較的多い疾患です。喫煙と関連があり、喫煙者の発癌リスクは喫煙しない人の2~4倍高いと言われています。また染色工業で使用される芳香族アミンなどを扱う仕事の従事者も同様に高い発癌リスクがあると報告されています。
膀胱癌は膀胱の粘膜に発生する癌で、病理組織学的には尿路上皮癌が約90%を占めます。膀胱癌の形態は大半が乳頭状ですが、絨毯のように裾野に広がるような形態をとる場合もあります。膀胱癌の70~80%は早期癌ですが、膀胱内の同一部位や膀胱内の他の部位に再発しやすいという特徴があり、膀胱癌の大きさや悪性度、数により再発率はさまざまですが一般的に5年以内に再発する確率は30~80%程度と報告されています。
日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編
「腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 2011年4月(第1版)」(金原出版)より作成