当院では、2026年6月より、手術支援ロボット「ダビンチ」を用いた鼠径ヘルニア手術を保険診療として開始しました。
当科では、これまで腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術を積極的に行い、鼠径部の解剖や腹膜外手術に関する経験を重ねてきました。こうした経験を基盤として、専門的なトレーニングを受けた外科医と手術室スタッフが連携し、ロボット支援下手術を行っています。
手術支援ロボット「ダビンチ」を用いた手術風景
鼠径ヘルニアは、足の付け根付近の腹壁が弱くなり、腸などの腹腔内組織が皮膚の下に脱出する病気です。立ったときやおなかに力を入れたときに膨らみが目立ち、違和感や痛みを伴うことがあります。自然に治ることはなく、根本的な治療には手術が必要です。
ロボット支援下手術では、術者が高精細な3D画像を見ながら、関節機能を備えた手術器具を操作します。手ぶれを抑えた精密な操作が可能であり、鼠径部の複雑な構造を確認しながら、丁寧な剥離や縫合を行うことができます。
ロボットが自動的に手術を行うわけではありません。専門的なトレーニングを受けた外科医が、患者さんのそばにいる手術チームと連携しながらロボットを操作します。
腹部に小さな創を設け、腹腔内から鼠径部のヘルニアを確認します。腹膜を切開してヘルニア周囲を剥離し、弱くなった腹壁を広く覆うようにメッシュを留置します。最後に、メッシュが腹腔内の臓器に直接触れないよう、切開した腹膜を縫合して閉鎖します。
1 ヘルニアを確認
腹壁の弱くなった部分から、
ヘルニアが膨らんでいます
2 修復する範囲を剥離
メッシュを安全に置くための
スペースを確保します
3 メッシュを留置
弱くなった腹壁を広く覆うようにメッシュを留置します
4 腹膜を縫合して閉鎖
メッシュが腹腔内の臓器に直接触れないように閉鎖します
※実際の手術方法は、ヘルニアの状態や患者さんの体格・既往歴などによって異なります。
当科では、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術を積極的に行うとともに、全国の学会や講演会、手術手技の教育活動において、指導的な役割を担っています。こうした鼠径部の解剖や腹膜外手術に関する経験を、ロボット支援下手術にも生かしています。
当科には、日本内視鏡外科学会技術認定医、ロボット支援手術プロクター(指導医)、日本ヘルニア学会鼠径部ヘルニア修得医の資格を有し、腹腔鏡下手術とロボット支援手術の指導経験を持つ医師が在籍しています。これらの医師を中心に、手術チームが連携し、患者さん一人ひとりにとって最善の治療を目指して、安全性と確実性を重視したロボット支援下鼠径ヘルニア手術に取り組んでいます。
鼠径ヘルニアの手術には、鼠径部を切開する方法、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術などがあります。
当科では、ヘルニアの状態、片側か両側か、過去の手術歴、年齢、全身状態などを踏まえ、医学的な適応と安全性を十分に検討します。そのうえで、それぞれの手術方法の特徴をご説明し、患者さんのご希望にも最大限配慮しながら、一緒に手術方法を決定します。
ロボット支援下手術をご希望の場合も、まずはお気軽にご相談ください。診察の結果、患者さんの状態によっては別の手術方法をご提案することがあります。
ロボット支援下手術では、腹部に3箇所の小さな創を設けて手術を行います。創部の位置は、手術方法や患者さんの状態によって異なります。
鼠径部の膨らみや違和感、痛みなどでお困りの方、ロボット支援下手術について詳しく知りたい方は、外科・消化器外科「おなかのヘルニア専門外来」にご相談ください。
紹介状をお持ちでない方も受診できます。患者さんご自身によるWeb予約、LINE予約もご利用いただけます。紹介状をお持ちの方は、地域医療連携室を通じた予約も可能です。