腹腔鏡下手術はキズが小さく術後の回復も早いといった特徴があり,今やあらゆる手術に取り入れられるようになってきました.日本で腹腔鏡下手術が一般的に行わるようなり20年以上が経過し,最近ではさらに腹腔鏡下手術が進歩してきています。その中の一つが単孔式腹腔鏡下手術です。
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単孔式腹腔鏡下手術はヘソのくぼみを切開し、そのキズからの操作だけで手術を行うという、いわば究極にキズを少なくした腹腔鏡下手術といえます。
単孔式手術ではもともとあるヘソのくぼみの中を切開して手術を行うので、術後のキズはほとんどわからなくなるくらいに目立ちません。海外ではScarless surgery(キズの見えない手術)とも言われています。
一方、単孔式手術では狭い空間から手術機器を挿入して操作しなければならないため手術器具の可動域に制限があります。そのため炎症が強い場合や過去に受けたおなかの手術によって内臓に癒着がある場合には手術が難しくなり行えません。
当科では以下の手術で単孔式手術を行っています.
単孔式腹腔鏡下手術は一般に胆嚢摘出や虫垂切除などの比較的小さな手術に行われます。胃切除や大腸切除などの大きな手術では単孔式手術のみで手術を行うことは困難ですが単孔式手術を応用して通常の腹腔鏡下手術よりもキズの数を減らした手術(Reduced-port surgery:減孔式手術)が全国のいくつかの施設で行わるようなりました。
通常の腹腔鏡下手術
減孔式腹腔鏡下手術
当科では現在のところ早期胃癌に対する腹腔鏡下胃切除(幽門側胃切除、胃全摘、噴門側胃切除)でReduced-port surgery(減孔式手術)を行っています。今後は大腸癌手術にも応用していく予定です。
減孔式腹腔鏡下胃全摘術後
減孔式腹腔鏡下胃全摘術後