1. 急性期脳卒中の治療に力を入れています。
脳卒中治療においては、発症後いかに速やかに適切な治療を行うかが重要で、超急性期の治療がその後の予後を左右することも少なくありません。このために、当科は以下のことに取り組んでいます。
2. 脳神経外科疾患全般において、高度なチーム医療を提供します。
急性期以外の脳血管障害(脳動脈瘤、頚動脈狭窄症、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、もやもや病など)にも力を入れて治療にあたっています。
外傷、脳腫瘍、機能的疾患(顔面けいれん、三叉神経痛)なども、当科で扱う疾患です。近年治療の選択肢は多様化しており、その中から最善と考えられるものを患者さんとの相談の中から決定し提供することが、当科のモットーです。
急性期脳梗塞に対する再開通治療
rt-PA静注療法が標準治療となっており、我々も積極的に行っておりますが、主幹動脈閉塞の場合、必ずしも再開通率は高くなく再開通がえられなかった場合の予後は不良であること、また、適応基準が非常に厳しく、再開通がえられれば症状改善が期待出来るのにrt-PAを使用出来ないことがしばしばあることが問題でした。こういった症例を対象に、血栓を機械的に取り除くことにより高い再開通率の期待出来るデバイスが近年開発され、高い再開通率が得られるようになってきました。2015年には、tPA静注療法も含めた内科的治療のみと比較して、機械的血栓回収術を追加することにより、有意に患者転機を改善した、とする臨床試験結果が相次いで報告されました。一定の条件を満たす患者においては、本治療を考慮することが、強く推奨されています。
少しでも後遺症を軽くできるように、我々はもこの治療を積極的に取り入れ、24時間常時行いえる体制をとっています。ここ3年間ではおおむね8割の患者で再開通をえており、50%の患者が元の生活に復帰しています。
脳梗塞に対する機械的血栓除去術
82歳女性 左片麻痺で発症
血栓を越えてマイクロカテーテルを進めた。
ステント型血栓回収デバイス展開
術後。完全再開通が得られ、症状も速やかに改善した。
脳動脈瘤に対する治療法選択(クリップ or コイル)
コイル塞栓術は脳動脈瘤に対する重要な治療選択肢の一つとなっていますが、どちらを選択するかは患者さんの背景、動脈瘤の形態など、さまざまな要因を検討する必要があります。当科ではすべての患者さんにおいて、クリッピング、コイル塞栓術それぞれの専門医のDiscussionにて最適と考えられる治療法を選択しています。
脳動脈瘤クリッピング術
脳動脈瘤コイル塞栓術
氏名・職名 | 認定資格 | 主な専門分野 |
---|---|---|
えんどう しょうご 遠藤 将吾 脳卒中センター長 医長 |
専門医日本脳神経外科学会専門医・指導医 | 脳腫瘍、脳神経外科一般 |
もりしま ゆたか 森島 穣 医師 |
日本脳神経外科学会専門医 日本血管内治療学会専門医 |
脳血管疾患 |
CT、MRI、超音波(エコー)、脳血管撮影、脳血流検査(SPECT)、顕微鏡下脳神経外科手術、内視鏡やナビゲーションシステム、種々の電気生理学的モニタリングなど種々の手術支援機器、最新鋭血管撮影装置を用いた脳血管内手術、rt-PA静注療法、など。
疾患 | 術式 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|
脳動脈瘤 | クリッピング術 | 破裂 | 8 | 1 |
未破裂 | 2 | 0 | ||
コイル塞栓術 | 破裂 | 5 | 5 | |
未破裂 | 0 | 2 | ||
血栓回収療法 | 10 | 13 | ||
頸部内頸動脈狭窄症 | 内頸動脈内膜剥離術 | 0 | 1 | |
頸動脈ステント留置術 | 11 | 7 | ||
脳内出血 | 7 | 18 | ||
脳動静脈奇形 | 0 | 2 | ||
脳腫瘍 | 32 | 27 | ||
外傷(慢性硬膜下血腫を含む) | 27 | 29 | ||
その他 | 48 | 37 | ||
合計 | 150 | 142 |
2020年度臨床研究業績一覧(著書・総説・原著・症例報告・講演・学会発表)
救命救急センターを併設した総合病院の中での脳神経外科、ということで、24時間365日体制で脳神経外科疾患の救急患者さんを受け入れ、迅速に高度な治療を提供するのが我々の使命と考えております。もちろん、一般の外来診療も行っております。脳神経疾患の疑われる患者さん、あるいは、危険因子を伴い脳疾患のスクリーニングの必要な患者さんがいらっしゃいましたらご紹介をお願いします。
【一般外来】 木曜日以外
【脳ドック】 火曜日午後
当科は、一般社団法人日本脳神経外科学会が実施するデータベース事業に参加しています。本研究の目的は日本全国の脳神経外科施設における手術を含む医療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すことです。
詳細はこちらから
脳卒中(脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血)や脳腫瘍を早期に発見し、 予防や治療を行うことを目的とした「脳の健康診断」です。強い磁力と電波を使って撮影するMRI(磁気共鳴断層撮影装置)で検査します。